近年パワーハラスメント問題が深刻化しています。
労働局への労働相談ではパワーハラスメントを含む「いじめ・嫌がらせ」の相談が17年度で約7万2千件と報告されています。厚生労働省の16年度の調査では、企業で働く人の3人に1人が「過去3年間にパワーハラスメントを受けたことがある」と回答しています。
セクシュアルハラスメントは「男女雇用機会均等法」、マタニティハラスメントは「育児・介護休業法」等で企業側に相談窓口の設置といった防止措置が義務づけられていますが、パワーハラスメントは法による規制が現在ありません。
企業側は
「指導としての線引きが難しい」
「業務上の指導との線引きがあやふやで、部下への指導を遠慮して人材が育たない」
「中小企業は負担が大きい」
との理由でパワーハラスメントの法規制には反対してきましたが、この企業側の声を受け、
厚生労働省は、
「業務上適正な範囲内の指導はパワーハラスメントに当たらない」とし、その判断基準を分かりやすくするため、すでに厚生労働省では「明るい職場応援団」というポータルサイトにて、パワーハラスメント関連の資料提供が行われています。
「明るい職場応援団」サイト
https://www.no-pawahara.mhlw.go.jp/
代表的には下記の防止措置が考えられます。
①加害者への懲戒規定を作り、社内に周知・啓発する。
②相談窓口の設置
③社内調査体制の整備
④被害者や加害者のプライバシー保護
⑤再発防止のための社員研修
⑥被害相談を理由とした解雇等不利益取扱いを禁止・周知。
対策に取り組まない企業に対しては厚生労働省が是正指導・勧告など行政指導を行い、指導に従わない場合は企業名公表を規定に盛り込む予定です。
大企業は2020年4月から義務化予定ですが、中小企業は残業時間の上限規制等の働き方改革関連法案対応に追われるため、大企業に遅れること3年後の義務化を検討しており、その間は努力義務に留めるとしております。
当事務所は就業規則作成、改訂を多くの顧問先にてご支援させていただいております。
懲戒規定の作成などご不明点ございましたら何なりとお問い合わせくださいませ。